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痛みについて 4

2018/06/03
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心が引き起こす痛み

 

痛みには心因性疼痛と言われる痛みがあることはすでにお話ししましたが、ではどうして「心(こころ)」が痛みを引き起こすのでしょうか?それは例えばある時、体調がすぐれないので病院を受診したところ「少し進行した胃がんです。」と言われたとしましょう。

たいていの人は頭の中が真っ白になるようなショックを受けるに違いありません。そしてそのあと様々なことが頭をよぎり、心は乱れ夜も眠れず、結果、軽いうつ状態になるはずです。

その状態は自律神経の交感神経を優位にするように働くため、筋肉の緊張や血圧の上昇といった事態をも引き起こすことになります。その反応自体は緊急事態に対処するための防衛的な反応なのですが、しかしその状態が長く続くと緊張した筋肉に血管やリンパ管が圧迫され、通貨障害を起こし、そのために老廃物の排出が滞り、そのことがまた刺激となってさらに筋肉の緊張を強める...といった悪循環に陥ります。その結果、首や肩の痛み、頭痛、目の奥の痛み、といった諸々の痛みや不眠や不安といった正に心因的な症状まであらわれるようになるのです。

私が緩和ケア・チームの一員としてかかわっていた大学付属病院に入院されていたがん患者さんたちは、それぞれのがんとの戦いばかりではなく、自分の心の中から湧き上がってくる手強い痛み とも戦っておられました。